薄毛の悩みを持つ人にとって、髪の「ボリューム」は切実な問題です。ヘナを使い始めた人から「髪が増えたわけではないのに、薄毛が気にならなくなった」という声がよく聞かれますが、これはヘナが持つ、優れたボリュームアップ効果によるものです。では、ヘナはどのような仕組みで、髪をふんわりと、豊かに見せてくれるのでしょうか。その秘密は、ヘナの主成分である「ローソニア」という色素成分の働きにあります。このローソニアは、髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)に、まるで磁石のように強く吸着する性質を持っています。シャンプーで髪を洗うと、髪の表面を覆っているキューティクルが少し開きます。ヘナのペーストを髪に塗布すると、この開いたキューティクルの隙間からローソニアが髪の内部に浸透し、タンパク質としっかりと結合します。この時、ローソニアはただ色をつけるだけでなく、髪の内部でタンパク質の隙間を埋め、髪そのものを補強してくれるのです。さらに、髪の表面にも薄い膜を形成し、髪一本一本をコーティングします。これにより、物理的に髪の毛の直径が太くなります。一本一本が太くなることで、髪全体の密度が高まり、結果として、触った時の感触も、見た目のボリュームも格段にアップするのです。例えるなら、細い糸にニスを何度も塗り重ねて、太く丈夫な紐にしていくようなイメージです。また、ヘナにはキューティクルを整え、引き締める「収れん作用」もあります。これにより、髪にハリとコシが生まれます。ハリとコシが出ると、髪が根元から自然に立ち上がりやすくなり、ぺたんと寝てしまいがちだったトップにも、ふんわりとした立体感が生まれます。この「一本一本を太くする効果」と「根元から立ち上げる効果」、この二つの相乗効果によって、ヘナは、髪の絶対量を増やすことなく、薄毛の悩みを効果的にカバーしてくれるのです。それは、単に「隠す」という消極的なものではなく、髪そのものの質感を向上させ、力強く見せるという、非常にポジティブなアプローチと言えるでしょう。
ヘナで髪はボリュームアップする?薄毛を隠す仕組み