自分の頭皮や毛根の状態を肉眼だけで正確に把握することは困難です。そこで役立つのが、皮膚科や専門クリニックで使用されるマイクロスコープです。数百倍に拡大された映像は、私たちに衝撃的な真実を教えてくれます。健康な頭皮の映像を見ると、一つの毛穴から二本から三本の太い髪が生えており、毛穴周辺はすり鉢状にくぼんでいます。頭皮の色は青白く透き通っており、適度な潤いがあるのが分かります。そして抜け落ちた毛根を拡大すると、先端が丸く膨らんだ「棍棒状」をしており、これは髪が成長のサイクルを全うした証です。対照的に、薄毛が進行している、あるいはそのリスクが高い人の映像には、明らかな特徴が現れます。まず、一つの毛穴から一本しか髪が生えていなかったり、生えていても細く頼りない産毛ばかりだったりします。これを「軟毛化」と呼びます。毛穴周辺のくぼみはなくなり、のっぺりとしていたり、逆に過剰な皮脂で詰まっていたりします。頭皮の色も、炎症を起こして赤くなっていたり、乾燥して茶色っぽく濁っていたりすることが多いです。そして何より危険なのが、抜けた毛根の形状です。拡大してみると、先端が細く尖っていたり、萎縮して変形していたりします。ひどい場合には、毛根そのものがほとんど見当たらないこともあります。これは、毛包が極度に弱っており、髪を繋ぎ止める力を失っている状態を示しています。また、毛根に白くベタついた塊が付着しているのが見えることがあります。これは「脂漏(しろう)」と呼ばれるもので、過剰な皮脂が酸化して毛根にこびりついたものです。これが毛穴を塞ぎ、炎症を引き起こして抜け毛を誘発しているのです。逆に、毛根に黒い色素が残っている場合は、成長期の途中で何らかの異常が起きて抜けてしまったことを示唆しています。通常、抜ける準備に入った髪は色素の供給が止まり根元が白くなるはずだからです。マイクロスコープで見える世界は嘘をつきません。もし機会があれば、一度自分の頭皮を拡大して見てみてください。その映像は、今のケアが正しいのか、それとも改善が必要なのかを雄弁に語ってくれるはずです。