ハイトーンカラーやデザインカラーを楽しむために不可欠な施術であるブリーチ。その一方で、「ブリーチをすると髪が抜けてはげる」という噂を耳にし、挑戦することに不安を感じている方も少なくないでしょう。結論から言うと、ブリーチ剤が直接的にAGA(男性型脱毛症)のような、毛根の働き自体を停止させてしまうタイプの薄毛を引き起こすことは基本的にありません。しかし、ブリーチが髪や頭皮に与えるダメージが、結果的に「はげたように見える」状態を招く可能性は十分にあります。ブリーチ剤は、髪のメラニン色素を分解するための強力なアルカリ剤と酸化剤で構成されています。この薬剤が頭皮に付着すると、強い刺激となり、接触性皮膚炎などの頭皮トラブルを引き起こすことがあります。頭皮が炎症を起こすと、健康な髪を育むための土壌が荒れてしまい、一時的な脱毛に繋がることがあります。また、健康な髪が育ちにくくなるため、新しく生えてくる髪が細く弱々しくなる可能性も否定できません。さらに深刻なのは、髪そのものへのダメージです。ブリーチは髪のキューティクルをこじ開け、内部のタンパク質を破壊します。これを繰り返すと、髪は強度を失い、非常に切れやすくなります。シャンプーやブラッシングといった日常的な刺激で髪が根元近くからプツプツと切れてしまう「切れ毛」が多発すると、髪全体のボリュームが失われ、地肌が透けて見えるようになります。これが、多くの人が「ブリーチではげた」と感じる主な原因です。つまり、毛根から髪が抜け落ちるのではなく、髪が途中で切れてしまうことで薄く見えてしまうのです。したがって、ブリーチとはげることの関連性を正しく理解し、頭皮と髪への負担を最小限に抑える施術やケアを行うことが、おしゃれと美髪を両立させるための鍵となります。