抜け毛対策として、食事内容に気を使っている人は多いですが、「食べたものがしっかり吸収されているか」まで意識している人は意外と少ないものです。栄養学には「You are what you eat(あなたは食べたものでできている)」という言葉がありますが、より正確に言うならば「You are what you absorb(あなたは吸収したものでできている)」のです。いくら髪に良いとされるタンパク質や亜鉛、ビタミンを大量に摂取しても、それを受け入れる腸の状態が悪ければ、栄養素は吸収されずにそのまま体外へ排出されてしまいます。つまり、腸内環境が乱れている状態では、どんなに素晴らしい食事療法も、高価なサプリメントも、その効果は半減どころか無意味になってしまう可能性があるのです。腸内環境が悪化すると、栄養の吸収率が下がるだけでなく、免疫機能の低下や血流の悪化も招きます。腸内で悪玉菌が優勢になると、有害物質が発生し、それが血液に乗って全身を巡ります。この汚れた血液が頭皮に到達すると、毛根にダメージを与えたり、炎症を引き起こしたりして抜け毛の原因となります。また、便秘が続くと自律神経が乱れ、ストレス状態と同様に血管が収縮し、頭皮への血流が滞ってしまいます。逆に言えば、腸内環境を整えることこそが、全身の巡りを良くし、摂取した栄養を余すことなく髪に届けるための最短ルートなのです。これを「腸活育毛」と呼んでも良いでしょう。では、具体的にどうすれば腸内環境を改善できるのでしょうか。ポイントは「菌を入れる」ことと「菌を育てる」ことの二つです。まずは、ヨーグルト、納豆、キムチ、味噌などの発酵食品を積極的に食べ、善玉菌を腸内に送り込みましょう。自分に合った菌は人それぞれ違うため、様々な種類の発酵食品を試してみるのがおすすめです。次に、善玉菌の餌となる食物繊維やオリゴ糖を摂取して、菌を育てます。野菜、海藻、キノコ類、バナナなどに含まれる食物繊維は、腸のお掃除役としても活躍します。特に水溶性食物繊維(海藻やオクラなど)と不溶性食物繊維(根菜や豆類など)をバランスよく摂ることが大切です。また、朝起きてすぐにコップ一杯の水を飲むことも、腸の蠕動運動を促すスイッチになります。高価な育毛剤を頭皮に塗る前に、まずはお腹の中を整えてみてください。快便になり、肌の調子が良くなってきたら、それは腸が整い、髪に栄養が届き始めたサインです。