鏡を見るたびに広がる分け目と、シャンプーの後に排水溝に溜まる抜け毛。三十代半ばで私が直面した薄毛の悩みは、深刻なコンプレックスとなり、外出することさえ億劫にさせていました。高い育毛剤を使っても効果は感じられず、藁にもすがる思いで調べた結果、辿り着いたのが「食生活の改善」でした。それまでの私は、仕事のストレスを理由に、夜遅くに脂っこいラーメンを食べたり、甘いスイーツを日常的に摂取したりと、髪にとって最悪の生活を送っていたのです。髪は食べたもので作られるという当たり前の事実に気づき、私は冷蔵庫の中身を総入れ替えする決意をしました。私が実践したのは、徹底的な「高タンパク・低糖質・抗酸化」の食事です。まず、毎朝食べていた菓子パンをやめ、納豆と卵かけご飯、そして具沢山の味噌汁に変えました。納豆に含まれるイソフラボンはホルモンバランスを整え、卵は髪の材料そのものです。昼食は外食をやめ、鶏胸肉やブロッコリー、ゆで卵を詰めた手作り弁当を持参しました。夜は、髪の成長ホルモンが分泌される睡眠中に備え、消化に良く亜鉛が豊富な牡蠣や赤身肉を中心に、たっぷりの温野菜を摂るようにしました。おやつには亜鉛を含むカシューナッツを小袋に入れて持ち歩き、空腹を紛らわせました。最初は甘いものへの欲求との戦いでしたが、三ヶ月が過ぎた頃から変化が現れ始めました。まず、肌の調子が良くなり、疲れにくくなったのです。そして半年後、美容院に行くと担当の方から「髪のコシが変わりましたね、根元がしっかりしています」と言われたのです。マイクロスコープで見てもらうと、一つの毛穴から太い毛が生えてきているのが確認できました。劇的にフサフサになったわけではありませんが、ペタンとしていた頭頂部にボリュームが戻り、地肌が目立たなくなっていました。何より、自分の手で体を変えられたという自信が、私を明るくしてくれました。食事を変えることは、誰にでもできる最も確実で安全な育毛法です。私の体験が、同じ悩みを持つ人の背中を押すきっかけになればと願っています。
薄毛に悩み食生活を根本から変えた私の育毛実録