髪に関する悩みは尽きないものですが、その中には、科学的根拠の乏しい、様々な「誤解」や「都市伝説」が紛れ込んでいます。これらの誤解に振り回されると、間違ったケアに時間とお金を費やし、かえって悩みを深刻にしてしまうことも。ここでは、「ヘアサイクル」という正しい知識の視点から、よくある誤解を解き明かしていきましょう。【誤解1:髪を洗いすぎると、必要な髪まで抜けてハゲる】これは、最も多い誤解の一つです。シャンプーの時に抜ける髪の毛は、そのほとんどが、すでに寿命を終えた「休止期」の髪です。シャンプーという軽い刺激が、自然に抜け落ちるタイミングを少し早めているに過ぎません。まだ成長期の途中にある健康な髪が、シャンプーくらいで簡単に抜けることはありません。むしろ、頭皮を不潔にしておくと、炎症などを起こし、ヘアサイクルに悪影響を及ぼす可能性があります。一日に何度も洗う必要はありませんが、一日一回の正しいシャンプーで頭皮を清潔に保つことは、健康なヘアサイクルのために重要です。【誤解2:毛穴に詰まった皮脂が、髪の成長を妨げて薄毛になる】これも、育毛シャンプーの広告などでよく見かけるフレーズですが、少し誇張されています。確かに、過剰な皮脂は頭皮の炎症の原因にはなりますが、毛穴に詰まった皮脂が、物理的に髪の成長をブロックするほどの力はありません。薄毛の根本的な原因は、毛穴の表面的な問題ではなく、毛根の奥深くで起こっている「ヘアサイクルの乱れ(成長期の短縮)」です。毛穴のケアも大切ですが、それだけで薄毛が解決するわけではないことを理解しておく必要があります。【誤解3:白髪を抜くと、増えたり、そこから生えてこなくなったりする】白髪を一本抜いても、その毛穴から次に生えてくる髪が白髪になる可能性は高いですが、周りの毛穴に影響して白髪が増えるということはありません。また、一度抜いても、その毛根が死んでしまわない限り、ヘアサイクルに従ってまた新しい髪が生えてきます。ただし、無理に抜き続けると、毛根にダメージを与えてしまい、本当に生えてこなくなる可能性もあるため、抜くよりは根元で切る方がおすすめです。正しい知識は、あなたを不要な不安から解放し、効果的なケアへと導いてくれます。