薄毛治療のためにフィナステリドを服用している方の中には、「筋トレの効果に影響はないのだろうか」「筋肉がつきにくくなるのでは」と不安を感じる方もいるかもしれません。男性ホルモンと筋肉の関係は複雑に思えますが、結論から言うと、フィナステリドの服用が筋トレ効果を劇的に低下させたり、筋肉量が著しく減少したりする可能性は低いと考えられています。その理由と、安心して筋トレを続けるためのポイントを探ります。フィナステリドは、AGA(男性型脱毛症)の主な原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制する薬剤です。DHTは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが体内の酵素によって変換されてできるもので、毛乳頭細胞に作用してヘアサイクルを乱し、薄毛を引き起こします。ここで重要なのは、フィナステリドが抑制するのはこのDHTであり、筋肉の成長に大きく関わるテストステロンそのものを直接的に大幅に減少させるわけではないという点です。[1][2]実際に、フィナステリドを服用した場合の筋肉量への影響については、多くの研究で劇的なマイナス作用は認められていません。例えば、フィナステリドよりも強力にDHTを抑制するデュタステリドを用いた研究でも、筋肉量に有意な差が出なかったと報告されています。[1][2] このことからも、フィナステリドが筋肉の成長に大きな悪影響を及ぼす可能性は低いと言えるでしょう。むしろ、筋トレは全身の血行を促進し、ストレスを軽減するなど、AGA治療にとっても良い影響を与える可能性があると考えられています。[8][9] 適度な運動は、心身の健康を維持し、毛髪の健康にも良い影響を与えるでしょう。しかし、筋トレの強度や頻度が過剰になったり、疲労やストレスが蓄積したり、睡眠不足や栄養不足が続いたりすると、ホルモンバランスが乱れ、結果的に頭皮環境や毛髪の成長に悪影響を与える可能性はゼロではありません。[1] フィナステリドを服用しながら筋トレを続ける際は、無理のない範囲で、バランスの取れた生活習慣を心がけることが大切です。不安な場合は、自己判断せずに医師に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。